貞山運河とはみどころアクセス魅力再発見コラム写真集リンク

今から10年ほど前、河川や運河に住民の関心が高まり、初めて北上運河と東名運河のパンフレット「運河辞典」を作成したとき、次のような巻頭言を記しました。

貞山運河は、仙台湾沿いに旧北上川河口と阿武隈川河口を結ぶ、藩政期から明治期にかけて建設された総延長46.4qの日本最長の運河です。 今日、一時代を築いた貞山運河は交通体系の変化のなかで役割を終えましたが、宮城県が全国に誇る歴史的遺産として見直され、21世紀に向けた個性あふれる地域づくりのシンボルとして、新しい運河・水辺空間づくりが進められています。 名所あり、すてきな景観あり、豊かな自然と可能性を秘めた運河。忘れかけていた流れに沿ってガイドマップを手に運河再発見の旅に出かけてみませんか?

あれから10年、国土交通省と宮城県などによって北上・東名運河の整備はどのようになされ、現在、住民にどのように利用されているのでしょうか。

運河の管理者である宮城県は平成5年、皇太子ご成婚記念として「歴史のかおる運河整備事業」に着手、護岸の修築、階段護岸、停泊地、休憩施設の整備などにより親水空間の創出を図ったことで、運河は豊かな自然を残し人々にやすらぎを与えてくれる水辺としてよみがえりました。

また、平成11年7月に北上川・運河交流館(開設者北上川下流事務所)が、16年10月には野蒜築港資料室(同東松島市)などの中核施設が開設され、河川と運河、野蒜築港の案内などのほか交流拠点として利用されるようになり、運河ににぎわいが戻りました。

石井閘門(管理者北上川下流河川事務所)は平成14年5月、国から重要文化財(建造物)の指定を受けました。築造から120余年、ほぼ当時のままに原型を保ち、今でも現役の船舶通航施設として使われる同閘門は生きた文化財、かけがえのない土木遺産であり、運河と併せて歴史文化を愛する者には魅力的な施設となっています。

北上・東名運河沿線の石巻松島自転車道線(サイクリングロード)は石巻市と東松島市を結んでいます。特に石巻市内の北上運河は都市河川として、同市が公園緑化を図ったことで、日常的に散歩やウォーキングなどの多くの利用者が見られ、同所で開催される「北上運河ライトアップ」は夏の風物詩として住民の目を楽しませてくれます。

石巻の市街地を流れるこの運河は昭和40年代以降、後背地の宅地化によって生活雑排水の流入が始り悪水堀と化しましたが、北上川下流河川事務所が運河の水質浄化に取組み、平成11年以降、旧北上川から日常的に導水することで水質の改善が図られました。

運河を往来する船は少なくなりましたが、石井閘門は年間に10隻以上の通航があり、珍しそうに市民が見守るなか、閘門操作員が安全に船を誘導してくれます。また高校生の部活動カヌー・ボートの練習やNPO法人による小学生対象のカヌー教室などは近年の運河を活かした利用のひとつとなっていて、これらの運河に舟運復活を期待する声が各界から聞かれます。

邊見 清二

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